魚類の成長には、インスリン様成長因子-I型(IGF-I)が深く関わっていることが知られている。本研究では、非必須アミノ酸でも同様の効果がみられるかIGF-Iを指標として検討し、効果のあった非必須アミノ酸を添加した飼料がブリの成長を促進するか確認した。 成長を促進するアミノ酸の検索としてアミノ酸投与試験を行い、Proline投与によってNaCl(対照)群と比べ有意にIGF-I mRNA量が増加した。この効果があったPolineを試験飼料に乾燥飼料1kg当たり0(Control)、1(Pro-1%)および3%(Pro-3%)添加した3つの飼料を作製した。500L容水槽に平均魚体重111.4gのブリ当歳魚をそれぞれ15尾ずつ収容し、給餌は1日1回飽食で行い、3水槽/各飼料で6週間飼育した。3週目および終了時における体重・給餌量を測定し、成長成績を求めるとともに背部白筋のIGF-I mRNA量を測定した。 成長試験では、3週目の魚体重、日間成長率および飼料効率はProline添加量に伴い増加する傾向がみられ、Pro-3%添加区でControl区に比べ有意に高い値を示した。6週目の魚体重および日間成長率では、Proline添加量に伴い増加する傾向がみられ、飼料効率ではPro-3%添加区がControl区に比べ有意に高かった。背部白筋のIGF-I mRNA量は、成長成績と同様にProline添加量に伴い増加する傾向がみられ、3週目のPro-3%添加区は他の試験区に比べ有意に高い値を示した。 以上の結果からブリにおいて、白筋IGF-I mRNA量を指標として成長を改善する飼料が開発された。
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