キチンオリゴ糖をLactococcus lactis subsp.lactisの培養液中に添加することで乳酸発酵を行い、バイオプラスチックの原料となるL-乳酸を効率的かつ高純度に生成する方法の確立を目的として、以下の研究を行った。まず、すでに分離済みの海産魚由来のL.lactis subsp.lactis株のキチンオリゴ糖の利用能について調べるため、2糖から6糖までのキチンオリゴ糖標準標品を培地中に添加してその利用能について調べるとともに、所属研究室で保有しているチーズスタータおよび淡水魚由来L.lactis subsp.lactis、およびL.lactis subsp.cremorisを比較対照として同様の試験を行った。その結果、魚類由辛のL.lactis subsp.lactis株は、2糖から6糖までのキチンオリゴ糖を利用可能であったのに対し、チーズスタータ由来L.latis subsp.lactisは、3糖までしか利用できず、チーズスタータ由来L.lactis subsp. cremorisは、2糖以上を利用できないことが明らかとなった。また、海産魚由来のものは、淡水魚由来のものと比較して2糖から6糖までのキチンオリゴ糖を速やかに利用可能であった。また、2糖を基質とした場合に生成される乳酸の光学異性体比についても調べたところ、L-乳酸の純度は、チーズスタータ由来L.lactis subsp.lactisで85%、L.lactis subsp. cremorisで96%、淡水魚由来のL.lactis subsp.lactisで93%、海産魚由来のL.lactis subsp.lactisで99%であった。
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