平成21年度は先行研究のサーベイ、基礎的データの収集と試行的なモデル分析、および海外の共同研究者との関係構築に主要な力点を置いた。まずデータについては、本研究の対象である中国山東省における土地利用状況、農業生産における各種作物の生産形態や灌漑用水の利用状況、標高・地質・土壌などのGISデータなどを現地の共同研究者と収集し、実証分析で利用可能なフォーマットへの整備する作業を進めた。また利用可能な一部のデータを利用して、中国農業における効率性について試行的な実証分析をおこなった。この結果は平成21年10月に中国地質大学(北京)にて開催された研究セミナーの場で報告し、出席した研究者と結果の解釈についての意見交流や、関連する情報交換などを進めた。 また平成21年度は、表層流・地下水の循環を物理的にシミュレートするモデルとして、デンマーク水理研究所(DHI)が開発するMIKE SHE水文モデル・MIKE 11水理モデルを導入し、付属のサンプルデータを利用してモデルの動作検証をおこなった。今後は同モデルを山東省の対象フィールドに適用し、効率性研究とあわせて農業における灌漑用水利用の変化が表層流・地下水環境に与える影響を評価するためのプラットフォームを構築する方針である。
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