研究概要 |
本研究の課題は,さまざまな問題を抱える集落コミュニティを対象として,ソーシャル・キャピタルの働きや役割を構造的に整理し,さらにその発現メカニズムを解明することである.そこで平成21年度では,消滅が危惧される小規模集落である限界集落を対象として,ソーシャル・キャピタルの源泉となる集落構成員間の人的繋がりの構造を定量的に把握した.これは発現メカニズム解明への1つの接近となる.今年度は,その継続として,次の2点に取り組んだ. 第1に,平成21年度の成果である限界集落における人的繋がりの構造に関する知見と平成20年度以前の成果である集落コミュニティの活性をもたらすソーシャル・キャピタルの役割に関する知見を統合した. 第2に,中山間地域におけるソーシャル・キャピタルの賦存量に関する個票データ(集落数156,有効サンプル数1850)及び農業集落カードデータを用いてソーシャル・キャピタルを規定する要因の解明に取り組んだ.この取り組みはソーシャル・キャピタルの発現メカニズムを解明するための本課題での2つめの接近となる.分析は中途であり予備的考察・試行段階であるが,個人のソーシャル・キャピタルの捉え方・見方,旧村の固有要因等が新規かつ興味深い規定要因として予見される.
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