研究概要 |
本研究の目的は,「企業による農業経営」や企業的農業経営に焦点をあて,(1)その経営実態と成果を明らかにすること、(2)参入企業農業の地域社会・経済に与える影響を実証的に分析すること、(3)企業農業と地域社会・経済との関係を国際比較すること、である。 平成22年度は、目的(1)の経営実態について、企業的農業経営のリスク管理という観点から分析を行い、「農業新規参入とリスクマネジメント」として成果を公表した(南石晃明編著『食料・農業・環境とリスク』所収)。 また、目的(2)、(3)について、農業経営と地域社会との関係においては、ユニークで、注目に値すると考えられる米国のCSA (Community Supported Agriculture)について、日本における展開可能性を視野に入れながら聞き取り調査を行った。CSAについては、すでにいくつかの研究成果報告があるが、とくに今回、北東部の調査で得られた知見は、過去の文献と異なる内容もあった。引き続き、実態の解明をすすめる必要があり、日本での展開可能性の検討を含め、研究を深化したい。 同様に、参入経営や企業的経営は、独自の販売ルートでの販売を志向する事例が多いことから、独自販売の一形態であるファーマーズ・マーケットでの販売についての調査を進めた。とくに、コミュニティビジネスとしてのファーマーズ・マーケットとの関係を分析した。成果は、学会で報告し、さらに「農業新規参入とリスクマネジメント」(櫻井清一編著『直売型農業・農産物流通の国際比較』)として公表した。
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