1年目は個別の事例について、詳細にみていったが、その展開過程と課題についてみてみると、市町村自治体の支援が多かれ少なかれ見られることが明らかとなった。そのため、自治体の取り組みにも注目し、実証的にその効果について明らかにした。多くの自治体では、地産地消の推進が、食育推進基本計画の中で定められているが、食に関する条例を設定しているところは少なく、その先進的な地域として福井県小浜市と愛媛県今治市を対象に自治体の取り組みについて調査を進めた。一方、地産地消推進を後押しする認証制度なるものを都道府県単位の自治体が行っている例も少ない。そこで、先進的に行っている事業として、地産地消認証を行っている群馬県および鹿児島県で調査を進めた。 小浜市、今治市のように市町村単位で進める場合には、市長の方針に由来するところが大きいこと、職員にキーパーソンがいること、規模の大小はあるが、地方卸売市場が機能していることが必要条件として考えられた。また、その展開は学校教育現場と密接につながることが明らかとなった。 一方、都道府県単位で認証を進める地域は、認証を受けた店舗の情報を行政関連のホームページや行政が作成したパンフレット等に掲載し、消費者への情報提供が充実する。そのため、観光振興につながっていることが明らかとなった。また伝統的品種など、特徴ある農産物に注目が集まるようになり栽培が始まり、それらを活用するような伝統的な調理法の普及や新メニューの開発が見られることが明らかとなった。食文化構築につながっていると言える。都道府県認証のある地域では、JAが地産地消推進に積極的に関わり、直売所を展開していていること、また市街地にJAのアンテナショップを展開する段階にきていることが明らかとなった。
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