本研究では、国民のライフステージ毎の食生活に関する調査、及び各ライフステージに応じた適正な食育に関する提言を行うことを目的としている。 その中で、本年度は、幼児期の食事形成がその後の食生活形成に大きな影響を及ぼすという仮定の下で、幼児期に該当する保育園児に焦点を当てて調査を行った。 調査方法については、園児の日常生活を良く把握し、さらにサンプルとして多く幼児の状況を把握することのできる保育士(一部調理員を含む)を対象としたアンケート調査を行った。調査は保育士研修の場で回答してもらう集合調査の形で行った。調査内容は、(1)食事状況、(2)食事状況を勘案した上での約10年後の幼児の食生活の予測、(3)保育士の立場から食育に期待する効果、(4)日本の食育推進に関する項目の重要度についての質問を行った。 調査の結果、有効回答62部であった。現在の保育園児(幼児1歳から就学前)の食生活についての現状について、「強くそう思う」「そう思う」「どちらとも言えない」「そう思わない」「全くそう思わない」の5段階評価を5~1として、平均値を算出した。平均点が高かった上位の項目は、「よくかまない」「食事のマナーが悪い」といった、幼児期に見られる特徴としての項目が高かった。次いで、「おやつをよく食べる」「自分の好きな物だけ食べる」「好き嫌いが多い」となっており、偏食の傾向にあることがうかがえる。一方、平均点が低かった項目には「果物をあまり食べない」「過度に小食である」「食べることに興味がない」等であり、摂取量の適正や食べることへの興味はあるということから、幼児期の食育については、食べることへの興味を失わせないよう配慮した上で、多種の食品を食べたり触れたりする機会を増やすことが重要になってくると考えられる。今後はさらに具体的分析を進めるとともに、他のライフステージに対する調査を継続する。 その他、本年度は地域の食資源と食育との関係に関する調査を佐渡市で行い、地域の資源(食資源を含む)をいかに食育に活用するか、またそれをいかに地域活性化に結びつけるかについても検討した。
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