平成23年度については、昨年度に引き続き、大きく3つの分野の調査を行ってきた。一つは、保育園の保育士、小学校教員、中学校教員、高等学校教員を対象としたアンケート調査を行い、子どもの教育者としての立場から現在の未就学児の食生活の問題及び2020年の食生活予測、今後の食育推進における重要要素等について検討した。未就学児の食生活予測では、加工食品嗜好のさらなる増大、外部化、孤食化のさらなる深化、農業への理解の不足等が将来も続くことが示唆された。食育推進における重要要因としては、因子分析の結果から、「教育機関における食育の重要性」等の5因子が抽出されると共に、教員の立場によって、給食予算拡充や外部からの情報発信等、異なる特徴が明らかになった。 二つ目は、都市部の学童期の児童を対象とした生活と食生活調査及びその保護者を対象とした食育に対する意識調査を実施した。児童の調査からは、家族との会話があることで、毎日の生活の充実や食生活の充実、ストレスの緩和等に関係していることが明らかとなった。また、家事に関わることが食べることへの興味や、偏食の減少に関係することが明らかとなった。さらに、食生活の充実は、毎日の生活の充実と大きな関わりがあることが明らかとなった。児童の嗜好調査からは、伝統料理はあまり好まれない傾向にあり、これらの伝統料理の今後の伝承が懸念される結果であった。保護者の調査からは、家庭での食育、子どもの頃からの食育、教育機関での食育などが必要であること、食育には農林漁業の発展よりはむしろ栄養や食生活改善に期待している結果であった。 三つ目としては、食・農・環境教育研究の一貫として、佐渡市の観光客を対象として、観光活性化に関する調査、西日本地域を中心とした有機農業者を対象とした有機農業経営に関する意識調査も実施した。
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