本研究の課題は、インドの単位信用農協の立て直しのため、単位信用農協と製糖協同組合との連携がどのような効果をもたらすかについて実証的に検証し、新たな単位信用農協モデルを提示することである。このために、インド西部マハラシュトラ州において、複数の単位信用農協や県中央協同組合銀行に加え、信用農協組合員などの関係者から聞き取り調査を行った。 昨年度までの成果としては、単位信用農協と製糖協同組合の連携システムの分析から、それは返済率向上のための効果的な方法であることが分かっている。平成22年度においては、その研究蓄積をさらに深めるため、単位信用農協と製糖協同組合の連携に関して、現地調査で得た結果をもとに、単位信用農協組合員の意識等の分析を行った。つまり、連携によるシステムの効果を、貸手側からみるだけでなく、借手側からもみることにより、連携システムの効果を両面から評価しようとしたものである。 このような分析による主な成果は以下の通りである。 ・組合員は、借入先を選択する際、利子などの返済条件よりも、製糖協同組合との連携があるか否かを最重視しており、連携をきわめて重要なものであると意識していることが分かった。 ・連携を利用した組合員への融資は、貸手である単位信用農協の取引費用を逓減させるだけでなく、借手である組合員が単位信用農協へアクセスする際の取引費用等においても逓減効果をもたらしていることが明らかになった。
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