研究概要 |
本研究は、農産物や加工食品において、価格や産地名など購買場面で得られる外部情報とともに、特定商品へのロイヤルティといった内部情報が商品選択をどのように規定しているのか、また、それらは品目間でどの程度異なるかを、消費者の購買履歴データを用いて定量的に解明し、併せて、特定商品へのロイヤルティの形成がどのようになされるのかについて、消費者への聞取り調査により解析することを目的とする。 平成22年度は、首都圏在住の96世帯を対象にしたホーム・スキャニングデータ(購買履歴データ)を用い、米、納豆の購買行動の特徴を分析した。分析期間は、2007年8月1日~2009年7月31日の2年間である。 まず、米については、上記2年間で577個の購買記録があり、購入が多かった品種は順に、あきたこまち(31%)、コシヒカリ(23%)、ひとめぼれ(9.7%)などであった。一方、購入が多かった産地は、秋田(23%)、新潟(16%)、北海道(12%)などであった。品種や産地以外の属性として、無洗米については、全購買のうち37%購入されており、商品重量としては5kg包装が74%と最も多く購入されていた。 次に、納豆については、5,539個の購買記録があり、国産大豆を使用した商品の購買はそのうちの11%、有機栽培大豆を使用した商品の購買は4%であった。また、消費者の購買頻度が高い差別化商品は、添付品を工夫したもの(15%)や健康機能性を訴求した商品(9%)であった。メーカー別に購買記録を見れば、全国販売額上位2社のタカノフーズとミツカンの商品で、全購買記録の56%が占められていた。
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