研究概要 |
本研究の目的は,霞ヶ浦周辺のハス田を対象として,水質汚濁負荷の削減に向けた営農計画を構築することである.具体的には,耕地ごとの作期および作業の分散による排水量の調整や,排水権の設定による負荷抑制対策の実効性について検討することを主な研究課題に設定した. 本研究では,「収穫作業の時間をずらすことや,作業を同時間に行わざるを得ないのであれば,隣接したハス田ではなく,離れたハス田で作業する(ジェット噴流が周辺のハス田に流出することから,水位上昇が緩やかになる)ことなど,作業体系ごと見直すべき」との仮説を立てた.今年度はこの仮説について具体的に検討することを目的として,茨城県霞ヶ浦周辺地区の企業的家族経営農家を事例に,その農作業体系(特に収穫作業に注目)および作業効率を調査し,主に以下の結果と考察を得た. ・特に収穫繁期においては,収穫を行うハス田から出荷準備を行う自宅作業場までの往復の時間が軽視できないことを定量的に把握した.すなわち収穫繁期においては農家は集落近傍のハス田での作業を好むことから,その計画的な分散は困難である. ・また,ハス田においては,収穫のみならず,レンコンの洗浄にも多量の用水を使っている農家が多数いることを明らかにした.したがって排水量の削減のためには,自宅作業場に洗浄水槽や洗浄機を配置することが望ましいが,投資額を考えるとそのための助成措置を検討する必要がある. ・収穫したレンコンのうち,出荷できない残渣部分の量は看過できないが,多くの農家はそれをハス田に放逐していた.水質汚濁抑止のためには,これの規制も重要である.
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