研究概要 |
本研究では,地域特性に立脚したグリーン・ツーリズムの推進形態を検討する基礎として,物理的条件(農業資源・地理的資源),心理的条件(参加意識・利用意向),社会的条件(法制度・土地利用計画)の観点から環現ストックの供給ポテンシャルとグリーン・ツーリズムの活動パターンを明らかにし,耕作放棄地等の潜在的な環境ストックを活用したグリーン・ツーリズム活動の実践可能性を評価することを目的とする。 平成23年度は,これまでに整備した供給ポテンシャルマップに新たな環壌ストックを追加・更新するとともに,種々の活動パターンに即したグリーン・ツーリズム・プログラム(以下・プログラム)を析出した。事例地区における供給ポテンシャルを整理した結果,環壌ストックは総体的に西高東低の傾向にあることを明らかにした。なかでも那須町西側エリアと東側エリアでは,宿泊施設数や収容人数に顕著な相異が見られ,各エリアの供給ポテンシャルに即したプログラム作成の重要性を明らかにした。これを踏まえて,事例地区の各エリアにおいて展開可能なプログラムをシーズン毎に析出した。旅行経費(利用料金および交通費)が5,000円以下,かつ所要時間(滞在時間および移動時間)7時間以下の活動パターン(日帰り行程)の場合,事例地区では1シーズンあたり80前後のプログラムが展開可能であることを明らかになった。このことから本プロジェグトにおいて構築した計画手法,すなわち環境ストックを供給ポテンシャルマップとしてデータベース化し,これに基づいて種々のグリーン・ツーリズム・プログラムを析出することが,潜在的な環境ストックを顕在化するための方法論として有効と考えられた。
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