研究課題
本研究では、植物試料を対象として、生体内における代謝の代表として広く認知されている呼吸作用や、低温ストレスに伴う低温障害と、近赤外分光法の利用によって得られる生体内水の動的状態との関係について明らかにすることを目的とした。まず、低温ストレス環境下における近赤外スペクトル計測システムの構築を行い、キュウリ果実の低温障害の進行に伴う近赤外拡散反射スペクトルの変化について検討した。その結果、低温障害の進行中に吸光度が特異的に変化する波長の存在が明らかとなり、それらは653~660、683~686、810~823nmであった。これにより、近赤外拡散反射スペクトルを用いたキュウリ果実の低温障害検出の可能性を示した。また、MA環境下(Modified Atmosphere)における近赤外スペクトル計測システムの作成に際し、申請設備を当初の予定から(ガスクロマトグラフ)、蛍光測定ベースの光学センサーシステム(NeoFox)へと変更し、より高精度かつハイスループットの呼吸計測システムを構築した。さらに、任意のガス環境下における近赤外スペクトル計測を可能とする、温度制御機構付きの測定セルを作製した。これらを用いて、異なる周囲酸素濃度環境下におけるホウレンソウ葉の近赤外拡散反射スペクトルを測定した結果、周囲酸素濃度の変化に伴って吸光度が変化する波長が明らかとなった。一方、純水中の溶存酸素濃度を変化させて、その近赤外透過スペクトルを取得した。その結果、水中の溶存酸素濃度の変化と共に吸光度が変化する波長は観察できなかった。以上の結果から、周囲酸素濃度がホウレンソウ葉の近赤外スペクトルの吸光度に与える影響は、間接的なものであることを示した。
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Journal of Near Infrared Spectroscopy 17
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Proceedings of the 14th International Conference on Near Infrared Spectroscopy (掲載確定)(未定)
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https://sites.google.com/site.teamkuroki/