研究概要 |
園芸施設の作物に未利用部分の日射で太陽光発電を行い、得られた電力で施設内の環境制御装置を運転し、結果として作物の収量や品質を向上させる。太陽電池製造時に排出するCO_2を作物が吸収するCO_2で相殺し、発電電力および作物の売り上げで太陽電池導入コストを数年かけて回収する。このような栽培調和型太陽光発電システムの開発を全体構想とした。特に、本申請に係る研究期間(3年間)では、作物に照射される日射の低下を最小としながら、最大の発電量が得られるような園芸ハウス屋根面への太陽電池の配置方法を定量的に明らかにすることを目的とした。今年度は、ハウス内の任意の位置に任意の配向で設置した太陽電池の発電量,およびその太陽電池を設置したハウス内の日射を計算するコンピュータープログラムを作成し,計算を実行した。計算結果を、2006-2008年に実施した予備実験から得られた実測値と比較した。その結果、同一面積の太陽電池アレイをハウス屋根面に設置しても、配置の幾何学形状によってハウス内の日射受光量の空間分布が著しく異なることが明らかとなった。さらに、屋外、太陽電池無設置ハウス内および太陽電池設置ハウス内でそれぞれ太陽光の波長分布を計測し、太陽電池の設置によるハウス内光環境への影響を考察した。太陽光の波長を分離してハウス内の作物とハウス屋根面の太陽電池に光を照射するオランダの研究施設を視察し、太陽電池の幾何学配置と波長選択システムについて議論した。年度前半の成果を日本生物環境工学会2009年福岡大会で口頭発表した。
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