研究概要 |
本研究は,諌早湾干拓大規模環境保全型農地における大型作業機械による土壌踏圧の現状把握とそのメカニズムの解明を行うこと目的としたものである.具体的には,トラクタとロータリ耕うん機から成る実際の圃場作業機械を用いた土壌踏圧試験,現地圃場でサンプリングした土壌を用いた室内土質試験および土壌踏圧現象の解析に対応し得る弾塑性有限要素解析プログラムによる土壌踏圧シミュレーションの実施とその妥当性の評価を行った. まず,諌早干拓内の試験圃場において,圃場作業機械(トラクタ)の繰返し走行回数,土壌の水分条件等を変えた土壌踏圧試験を実施した,その結果,(1)粘性土壌の踏圧現象の主要因は気相率の減少によって引き起こされる,(2)高含水率土壌では,トラクタ走行に伴う土壌の瞬間的な圧縮で過剰間隙水圧が発生し,走行後も過剰間隙水圧の散逸に伴う間隙水の排水が生じるので,土壌圧縮が長期間にわたって進行する,(3)締固め試験結果から,干拓土壌は含水比51.0%において最大乾燥密度ρmax=1.07g/m^3を示す,(4)標準圧密試験結果から,圧縮係数Cc=0.245,膨潤係数Cs=0.0275,圧密降伏応力Pc=160kPaを得た,(5)非排水三軸圧縮試験結果から,不かく乱土壌では土壌構造等の影響により負荷初期に見かけの粘着力に起因するせん断強度の増加が生じる可能性がある.よって,実際の圃場において土壌の力学特性を評価するには土壌構造の考慮が不可欠であることなどを明らかにした. 他方,前年度開発した土壌の構造や粘着力の影響を考慮できる弾塑性構成モデルを用いることにより,実際の粘性土壌の力学挙動を予測できることを明らかにした.さらに,本モデルを導入した有限要素解析プログラムを用いることにより,繰返し負荷を受ける土壌の圧縮特性を現実的に表現可能であることを明らかにした.
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