研究概要 |
高齢の農業就業者が継続して生産活動をおこなうためには,機械作業の労働負荷を軽減することが重要であると考えられる.そこで,本研究では,高齢就業者の実践を念頭に,不耕起栽培のひとつである局所耕うん栽培の実践を可能にする電動作業機械を検討している. 構想中の作業機械は,局所耕うんユニットと苗供給ユニットに大きく分けることができ,アクチュエータは電動モータとしている.平成21年度の研究活動においては,まず局所耕うんユニットの試作を行った.この局所耕うんユニットは,DCモータで局所耕うんツールを回転させながら,上下に昇降させる機構であり,圃揚に苗を置き入れる縦穴を設けることができる.いっぽう,この作業機械の苗には,チェーンポット苗の利用を検討した.従来のチェーンポット苗は,圃場の筋溝にチェーンポットを紙筒のまま置き入れる形式であったが,近年,紙筒を巻き取りながら裸苗を植えつける形式のチェーンポットが開発され,この形式を利用すれば,苗を供給する機構が簡易に実現できる可能性があると考えているためである.しかし,市販のチェーンポット用移植機では,柔軟に耕うんされた土壌に切られた溝に対して苗を据え置き,鎮圧輪にて鎮圧することに対し,本研究での構想では,縦穴に苗を落とし入れる方法になる.そこで,この構想の実現性を確認するために,簡単な試験をおこない,機構的な課題のほか苗の管理の課題などいくつかの課題を見いだした.くわえて,次年度に予定している圃場での試験にむけて,試験圃場環境の整備を行った.
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