研究概要 |
我が国の農業従事者の高齢化は深刻な問題である.今後この現象が急激に改善される見込みは低く,高齢の農業就業者に生産活動の継続を期待せざるを得ない.しかし,機械作業の労働負荷は決して小さいものでなく,高齢農業従事者が継続して生産活動をおこなうためには,労働負荷の低い作業機械の導入が重要であると考えられる.そこで,本研究では,高齢就業者の実践を念頭に,不耕起栽培のひとつである局所耕うん栽培の実践を可能にする電動作業機械を検討した. 構想中の作業機械は,局所耕うんユニットと苗供給ユニットに大きく分けることができ,平成21年度の研究活動においては,局所耕うんユニットの試作を行っている.平成22年度は,主に苗供給ユニットの試作とシステムの統合化作業を実施した.試作した苗供給ユニットは,チェーンポットを巻き取りながら裸苗を植えつける市販のチェーンポット苗移植機の機構を一部流用した.一方,市販の移植機では,柔軟に耕うんされた土壌に切られた溝に対して苗を据え置き,鎮圧輪にて鎮圧することに対し,提案している電動作業機械では,局所耕うん穴に苗を落とし入れることになる.そこで,局所耕うんユニットと苗供給ユニットの統合化作業において,試行錯誤を行った結果,苗が局所耕うん穴へ入る確率は約90%となった.移植に失敗した要因は,おもに苗に起因するものであり,均一な苗を育苗できるよう播種・育苗技術の向上の必要性が示唆された.
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