研究概要 |
本年度は,1)複数の作業者の位置と姿勢を同時にリアルタイム検出するシステムの開発,2)特定の作業行動をリアルタイムに認識しながら,作業に有用な情報を音声や映像の形式で作業者に通知するシステムの開発,3)圃場内の畝間通路や農道といった識別困難な圃場内境界線をリアルタイムに検出する自律移動型作業支援ロボット用視覚システムの開発,の3つの課題に取り組み,いずれの取り組みにおいても重要な成果が得られた.まず,複数の作業者を同時に追跡するシステムの開発では,2台の首振りカメラと各カメラ用に設計したParticle Filterを独立に制御しながら同時に2人の作業者を追尾できるシステムを構築し,同一作業空間で作業する3人の作業者の内2名の作業者の位置と作業姿勢を,1台のカメラにつき一人を追跡する方式で,毎秒30フレームの処理速さで例外なく検出できる結果を示した.カメラからの距離が38mまでであれば,屋内屋外関係なく,2名までの作業者の位置と姿勢を同時に検出できる結果を示した.次に,作業行動をリアルタイムに認識するシステムの開発では,首振りカメラや固定カメラを使って追跡した作業者の十数種類の作業行動を隠れマルコフモデルによってモデル化することによって,作業の速さや被験者の違いに影響されず,学習させた作業行動のみを安定して認識し,作業に有用な情報をタイミング良く作業者に音声や映像の形式で提供できる結果を示した.最後に,自律移動する作業支援ロボット視覚用に開発した圃場内境界線検出システムの開発では,曖昧な境界線を持つ圃場画像から消失点と境界線を同時探索するアルゴリズムを開発することによって,畝間通路や農道などの圃場境界線を,毎秒15フレームの処理速さで安定して検出できる結果を示した.以上のように,本年度は,自律支援型農作業ロボットの作業者行動追跡ならびに圃場空間認識機能の開発において,重要な成果が得られた.
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