牛乳で脂質が酸化する事による品質の劣化が問題となっている。本研究では、長期冷蔵保存下での脂質酸化のメカニズムを明らかにし、その生乳段階での乳成分との関連を検討した。脂質酸化の最終段階で発生する物質(ヘキサナール)は過酸化脂質を経て生成され、その経過は脂肪酸組成の影響を強く受けた。不飽和度の高い脂肪酸(リノレン酸)を多く含む生乳は早い段階でヘキサナールの生成が確認され、リノール酸を多く含む生乳はある程度経過してからヘキサナールが生成された。生乳中の脂肪酸組成は飼料構成の影響を強く受けるため、今後は飼養条件や生乳成分の違いによる生乳の用途・流通を考慮する必要があるだろう。
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