研究概要 |
1)ブラシ処理が子ウシのウェルフェアレベル(快適性、免疫性、ストレス)、生産性に及ぼす影響 黒毛和種肉用種育成牛を供試し、育成期からブラシ処理を開始した際の効果を調査した。離乳から離乳後4ヶ月程度まで月に2回のペースでヒトがブラッシングを行うブラッシング(以下BRとする)群、通常管理の無処理群に分けて行った。離乳後、4ヶ月目に放牧を行い、2ヶ月間ほぼヒトの管理が無い状況で飼養された。2ヵ月後に逃避反応距離を測定した結果、無処理群に比べBR群で短い傾向にあった。このことから、離乳後のブラッシングは放牧処理2ヵ月後でもヒトに対する恐怖心の低減効果があることが示唆された。 2)ヒトのブラシ処理に対する繁殖牛の反応 BRの快適性をウシの行動的・生理的ストレス指標により評価した。1日1回,ウシの体部4ヵ所(腰・腹・頸・頭)をBRする馴致を合計10回行い,各日,馴致中のウシを繋留するまでにかかる時間,各部位へのBRに対する行動反応(気質評点),BR中の心拍数を計測した。結果、繋留にかかる時間には馴致回数の効果があり,馴致1回目に対して2回目で有意に長くなるがその後短くなった.気質評点は,頭と頸のBRでは馴致回数が増えると親和的な反応を示した.BR中の心拍数は,馴致1回目に比べて10回目,4回目に比べて10回目で有意に低く,馴致10回目には腹に比べて頸で有意に低かった。
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