研究課題
デオキシニバレノールの主要な産生菌であるFusarium graminearumが飼料作物に感染した場合を想定し、サイレージ調製に伴うデオキシニバレノールの変化について検証を行った。トウモロコシサイレージへのF.graminearumの接種方法として、胞子のみと胞子を発芽させた菌糸を含む状態と2種類検証した。F.graminearumの胞子のみの感染の影響を検証するため、マングビーン培地でF.graminearumを培養し、胞子形成を行い、胞子懸濁液を作成した。トウモロコシ1gあたりに付着する胞子数を10^4になるように調整してトウモロコシに添加し、サイレージ調製を行った。また、滅菌したトウモロコシ穀実にF.graminearumを接種し、7日間培養し、F.graminearumの培養物を作成した。F.graminearumが増殖したことを確認した後、トウモロコシに同培養物を2%混合し、サイレージ調製を行った。デオキシニバレノールの測定は、HPLC-PDAの検出限界を下回ったため、ELISA(Neogen社Veratox5/5)により行った。その結果、サイレージ調製前のデオキシニバレノール濃度はいずれの処理区も乾物中0.3~0.4ppmであり、30日後には無添加区、胞子懸濁液を添加した区、トウモロコシ穀実のF.graminearum培養物を添加した区において、0.7~0.9ppmまで上昇した。対照区として用いた無添加のサイレージでも同様にデオキシニバレノール濃度が上昇していたことから、サイレージの発酵が進みpHが低下したことで、ELISAの反応に影響した可能性も考えられた。今後、HPLC-質量分析計を用いて低濃度のデオキシニバレノールを検出することで、デオキシニバレノールのサイレージ中におけるより詳細な検証を行う必要がある。
すべて 2010
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Journal of Food, Agriculture & Environment
巻: 8 ページ: 282-287