OCD系統の発症ラット(ocd/ocd)が呈する四肢短小、骨軟骨形成不全症および全身性の皮下水腫等の表現型はゴルジ体タンパク質GiantinをコードするGolgb1遺伝子に10bpの挿入変異に起因すると考えられている。この挿入変異はフレームシフトによる中途終止コドンを生じるために、ocd/ocdではGiantinのC末端側約2/3を欠損しており、その機能を欠損していると推測されている。本年度は+/+およびocd/ocd胎子の前肢から抽出したタンパク質をSDS-PAGEにより分離した後、ocd/ocdにおいて欠損していると推測されるGiantinのC末端のアミノ酸配列を認識する抗体を用いたIn Gelウェスタン分析を行った。その結果ocd/ocdでは陽性シグナルが認められなかったことから、ocd/ocdでは正常なGiantinタンパク質を欠損していることが明らかになった。また、胎齢16.5日および18.5日の大腿骨における軟骨細胞の増殖活性を測定した結果、ocd/ocdでは細胞増殖活性が有意に低く、細胞増殖活性の低下が四肢短小の一因となっていると考えられた。また、von Kossa染色により大腿骨の石灰化を調べた結果、ocd/ocdでは石灰化の遅延が生じていることが明らかとなり、さらにocd/ocdでは石灰化のパターンが乱れている可能性が示唆された。
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