研究課題
本研究では、計算科学およびバイオインフォマティクス手法を用いて、インフルエンザウイルスの抗原変異に伴う抗原構造の変遷をアミノ酸変化と立体構造の変化から明らかにすることを目的とし、以下の研究を遂行した。本年度は特にHA上への糖鎖付加による抗原構造の変化に着目した。まず、昨年度、分子モデリングにより構築した立体構造を時系列に並べ、DB解析により作成したアミノ酸変異履歴との比較を行った。この解析結果から、各年代におけるHA構造の変遷について考察した。一般に、HAに新たな糖鎖が付加することによって、その周辺エピトープに対する抗体の選択圧は減少することが予想される。本研究では、上記の変遷に関するデータを基に、情報理論的アプローチを用いて、糖鎖付加後の周辺残基の多様性の変化について解析した。その結果、糖鎖付加直後に周辺残基の多様性が減少した糖鎖付加部位もみられたが、多くの糖鎖付加部位では顕著な減少は確認されなかった。このことから、糖鎖付加部位周辺のアミノ酸が、糖鎖付加後もHAの抗原変異に関係していた可能性が示唆された。すなわち、HAに糖鎖が付加した後、その糖鎖が周辺エピトープに対する抗体の選択圧を必ずしも減少させていなかったことが予想された。また実際に糖鎖がHA上に付加することによって、糖鎖が周辺残基にどのような影響を及ぼすかを調べるため、分子動力学シミュレーションによるテスト計算を遂行した。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (5件)
Vet Microbiol.
巻: 147(1-2) ページ: 1-10
Biochem Biophys Res Commun
巻: (in press)
J Gen Virol
BMC Microbiol
巻: 10(1) ページ: 165
Clinical and Vaccine Immunology
巻: 17(11) ページ: 1723-1728
Virus Research
巻: 155(1) ページ: 61-68