本研究は、試験管内増幅法(QUIC法)を用いて異常型リコンビナントプリオンタンパク(rPrP-res)を作成し、それを免疫原としてマウスにおける免疫反応を調査することを主要な目的としている。 そこで今年度では、まず各種動物(マウス・ハムスター・ウシ・ヒト)rPrPの精製を行った。次にマウスrPrP(rmoPrP)を用いて、QUIC法におけるrmoPrP-resの作成および作成後の保存条件の検討を行った。その結果、0.1M(~0.5M)塩酸グアニジン存在下で、48時間以上振とう(1500rmp)した場合にrPrP-resの生成効率が最も高かった。また振とう時における反応液の容量は、容器容量の1/3以下で行った場合に生成効率が高かった。rmoPrP-res作成後の保存方法については、凍結融解あるいは塩酸グアニジンの存在によりrmoPrP-resが次第に消失したことから、PBSを用いて透析置換後、冷蔵(4℃)での保存が適していた。これらのrmoPrP-res作成および保存条件は、他動物種のrPrPを用いた場合とは異なり、それぞれについて条件の検討が必要であることも明らかとなった。 現在rmoPrP-resを大量に作成しマウスへ免疫することにより、その免疫反応の調査を試みようとしている。一方、rmoPrP-resを用いた場合免疫寛容により反応が見られない場合も考えられることから、ウシrPrP(rboPrP)を用いた検討も考えている。
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