研究課題
インフルエンザウイルスHA蛋白の開裂を特異的に防ぐことでウイルスの感染を効果的に抑制することと、通常のIgG抗体より優れた抗原特異性と親和性を持つと報告されたラクダ科動物のH鎖抗体の特徴(低分子・抗原特異性・耐熱性)を生かした、ウイルス感染症の治療研究を意図した。プロテインAおよびプロテインGを用いて通常のIgG1(約160kDa)およびH鎖抗体のIgG2(約85kDa)とIgG3(約95kDa)を精製し、マウスに免疫を行った後、脾臓の細胞を用いて細胞融合・ハイブリドーマを形成し、ラマのH鎖抗体のみを特異的に認識する抗体の探索を試みた。20数クローン分離したが、ウシ抗体との交差反応が認められ、ラマH鎖抗体特異的ではなかった。一方、VHH抗体遺伝子特異的Lam07,Lam08,VH-backA6 primersを用いて400bp前後のPCR産物が得られ、そのラマH鎖抗体遺伝子断片をpCANTAB5Eファージミドベクターに導入し、大腸菌DH5αに形質転換したクローンを、40クローン(Lam07)及び10クローン(Lam08)分離した。また、大腸菌TG1への形質転換およびM13KO7ファージを用いて抗体分子を提示するファージの作製を行い、ライブラリを作製し、市販HA抗原を結合したプレートにおいてバイオパンニングを行い、強いアフィニティーを持つVHHクローンの単離を試みている。一方、MnCl_2存在下で抗体分子に人為的に変異を導入した遺伝子産物やDNaseIを処理し遺伝子を再構築したものについても、同様のファージライブラリーを作製し、インフルエンザウイルスのHA抗原に特異的な遺伝子組換えラマH鎖抗体を作製した。
すべて 2010
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Vector Borne Zoonotic Diseases
巻: 10 ページ: 927-930