研究課題
牛卵巣皮質から直径1mm以下の初期胞状卵胞を単離・破砕して卵丘卵子顆粒層複合体(COGC)を採取した。COGCは96穴プレートを用いて14日間発育培養(IVG)を行った。IVG培地には、0、1、10、100および2000ng/mlのFSHを添加した(それぞれFSH 0、FSH 1、FSH 10、FSH 100およびFSH 2000群)。14日間培養後の生存COGCは体外成熟(IVM)培養(22h)行い、核成熟能の検討を行った。IVG後の生存COGC率は、FSHOおよびFSH 2000群に比べてFSH 1およびFSH 100群で高く(p<0.05)、FSH 10で高い傾向にあった(p=0.06)。卵子直径は、培養期間中に全ての実験群で増加した(p<0.05)が、IVG14日後の卵子直径はFSH 2000群が他の群と比べて小さかった(p<0.05)。IVM後のMII率は、全ての実験群において差が認められなかった。次にIVG培地にエストラジオール(E2)無添加、0.1あるいは1μg/ml添加とFSHを無添加または0.1μg/ml添加により6群(エストロジェン/FSH:0/0、0/0.1、0.1/0、0.1/0.1、1/0および1/0.1)を設定した。培地にE2およびFSHを添加しなかった0/0群では全ての卵子がIVG前の卵子直径に関わらず培養14日目までに死滅した。同様に、FSHのみを添加した0/0.1群においても全ての卵子が培養14日目までに死滅した。E2添加した4群において、1/0.1群の生存COGC率は他の3群に比べて高かった(p<0.01)。E2添加した4群で卵子直径がIVGにより増加した(p<0,05)。IVG後の卵子直径は低E2濃度の2群で高濃度の2群に比べて小さかった(p<0.05)。E2添加した4群において、生存COGC内の卵子のMII率に差は認められなかった。本研究から、IVG培地に1および100ng/mlのFSHを添加することにより牛の初期胞状卵胞由来の卵子(直径100μm未満)の体外生存率を改善できることが示された。また、高濃度(1μg/ml)のE2添加により卵子直径が増加することが示された。
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Theriogenology 73
ページ: 560-567
Theriogenology 72
ページ: 841-850