研究課題
ネコ体外受精の効率をさらに上昇させるために、ヒトで用いられている培地を用いた培養法のうち、胚の発育に必要な成分を全て含んだ培地で培養する方法(one-step法)および胚の各発生段階に適した成分を含む培地で順次培養する方法(two-step法)によって、未成熟卵子から桑実胚および胚盤胞期胚への発生率について比較した。すなわち、避妊手術で得たネコ卵巣から未成熟卵子を回収し、卵丘細胞が付着しているGrade1,2と卵丘細胞があまり付着していないGraae3の2つに分類した。それぞれの卵子をM199培地で30時間体外成熟し、HTF培地に移して18時間体外受精を行った。その後の体外培養では、(1)0.3%BSA含有Only-one培地で6日間(one-step群)(2)0.3%BSA含有Only-one培地で2日間、5%FBS含有Only-one培地で4日間(one-step+FBS群)(3)0.3%BSA含有Early-Culture培地で2日間、0.3%BSA含有Blastocyst培地で4日間(two-step群)(4)0.3%BSA含有Early-Culture培地で2日間、5%FBS含有Blastocyst培地で4日間(two-step+FBS群)の4群に分けて培養した。その結果、すべての群で胚盤胞期胚への発生が認められ、特にone-step+FBS群において、胚盤胞期胚の発生率が有意に増加した。次に、胚盤胞期胚から内部細胞塊(ICM)を分離し、ES細胞様コロニーの作製について検討したところ、細胞間境界が明瞭で、核に対して細胞質が少なく核小体が明瞭な.ヒトES細胞に類似した形態を示すコロニーが観察された。さらに、ネコES細胞の培養に必要なサイトカインであるネコLIFのクローニングを試みた。すなわち、ネコ胎子線維芽細胞からcDNAを作成し、ヒト、マウスなどで相同性が高い部分で作成したプライマーを用いてPCRによりネコLIFDNAを増幅した。増幅したDNAをシークエンスしネコLIFのアミノ酸配列を確認した。以上の結果から、ネコ体外受精系の確立に成功し胚盤胞期胚を多数供給した後、ネコES様細胞を培養することが可能となった。これらの結果は、ネコES細胞株樹立につながる研究成果である。
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