研究課題/領域番号 |
21780290
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
谷 浩行 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (00305658)
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キーワード | サルモネラ / 不活化経口ワクチン / 大腸菌表面発現 |
研究概要 |
大腸菌菌体を用いたSalmonella Enteritidis(SE)の不活化経口ワクチンの開発を目的として、平成22年度に構築した、アンカータンパク質としてサルモネラのV型分泌装置のβドメインタンパク質(MisL)利用し、そのN末端に経口ワクチンにおけるアジュバント効果が期待できるコレラ毒素のBサブユニット(CTB)を融合発現するプラスミドベクターを用いて、菌体表面に組換えタンパク質を発現した大腸菌の不活化法について検討した。不活化処理によるCTBの機能性の変化を定量化するため、GM1 gangliosideに対する結合活性を検出するGM1-ELISAについて検討した。生菌体、およびその超音波破砕物を材料として、固相化抗原、抗体の種類・濃度、ブロッキング剤の検討を行ったところ、GM1を固相化抗原、BSAをブロッキング剤として、発現誘導後の菌体の超音波破砕物を反応させ、コレラトキシンに対する抗体を用いて検出する方法がもっともCTBの定量性が高く、非特異的結合が抑えられた。また、既報のSEワクチン候補抗原として、べん毛の構成タンパク質であるfliC、三型分泌装置から分泌されるエフェクターであるsipD、sipCをコードする遺伝子をSEゲノムDNAから増幅、CTB融合発現プラスミドベクターのマルチクローニングサイトに挿入して、CTBとサルモネラ抗原タンパク質を融合発現するプラスミドベクターを構築した。今後は、菌体表面に組換えタンパク質を発現した大腸菌の不活化法について最適化し、CTBとSE抗原タンパク質を表面に融合発現させた不活化菌体を作製、ニワトリに投与し、免疫学的手法を用いて詳細に検討する必要があると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
大腸菌菌体表面へのSE抗原の発現ライブラリーの作製を試みているが、得られるライブラリーはいずれも多様性に乏しく、未だスクリーニングに至っていない。研究年度を鑑み、既報のワクチン候補抗原のクローニングを優先して行っている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究年度に構築したコレラトキシンBサブユニット(CTB)とSEワクチン候補抗原(fliC、sipD、sipC)を大腸菌菌体表面に融合発現するプラスミドベクターについて、大腸菌菌体表面に発現したそれら抗原の機能性を減弱させない不活化法について検討する。また、作製した不活化SE抗原発現大腸菌を実際に鶏に投与し、生体の反応を免疫学的手法を用いて詳細に調べ、最適な投与量、期間について検討する。さらに不活化SE抗原発現大腸菌を用いて実際に鶏の免疫を行い、SEを感染させその防御効果について検討する。
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