研究概要 |
高活性リグニン分解菌Phanerochaee Sordida YK-624株による環境ホルモン類分解機構を解明し、汚染土壌完全浄化菌の分子育種を行うため、本年度はP. sordida YK-624株によるビスフェノールA(BPA)の分解を行い、その際生成する分解産物の同定を試みた。リグニン分解が効率的に起こる培地においてBPAを処理すると、主に2種類の化合物が生成しており、これらを精製し、各種機器分析(ESI-MS, NMR)により構造決定を行ったところ、ともにBPAの二量体であった。なお、これら化合物はP. sordida YK-624株の産生するリグニン分解酵素でも生成することが判明した。つまり、BPAは菌体外にてリグニン分解酵素の作用により一電子酸化され、二量体化することが初発の反応と予想された。しかしながら、減少したBPAが定量的に二量体に変換されていないことから、これら二量体を合成し、さらに分解実験を行ったところ、これら二量体も即時に分解される事が判明した。現在、BPA二量体分解時に生成する化合物の同定をおこなっているが、少なくとも重合反応は起こっておらず、低分子化していることがESI-MS分析により示唆されている。 また、P. sordida YK-624株によるBPA分解時に特異的に発現しているタンパク質を検出するため、二次元電気泳動による解析を行い、BPA分解時に特異的に発現しているタンパク質数種を検出した。現在、これらタンパク質の同定を進めている。
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