研究概要 |
(1)リグニン分解酵素非産生条件下におけるビスフェノールA(BPA)の分解 昨年度までの結果より、リグニン分解酵素産生条件下においてBPAは白色腐朽菌Phanerochaete sordida YK-624株により酸化重合されることが判明している。そこで、BPAの完全分解を目指して、リグニン分解酵素非産生条件下においてBPAがどの様に代謝されるか検討した。ポテトデキストロース(PD)液体培地においてBPA(0.5mM)を処理したところ、7日間処理で約60%のBPAが除去された。本培養系よりBPA代謝産物を精製・単離し、ESI-TOF-MS及び各種NMR分析に供した結果、4-(2-(4-hydroxyphenyl)propan-2-yl)benzene-1,2-diolであることが判明し、BPAが水酸化されることが確認された。そこで本水酸化反応にシトクロムP450が関与しているかどうか確認するため、PD液体培地におけるBPA処理に及ぼすピペロニルブチキシド(PB)の影響を検討した結果、1mMPBの添加でBPAの代謝が大きく阻害されることが判明した。よって、本菌によるBPAの水酸化反応にシトクロムP450が関与していることが示唆された。 (2)模擬汚染土壌の浄化 木粉培地にて高発現するタンパク質遺伝子プロモーターとマンガンペルオキシダーゼ遺伝子を連結した遺伝子を導入したBM-65株(P.sordid YK-624株由来)を用いて模擬汚染土壌の浄化を試みた。ブナ木粉培地にて前培養したBM-65株を、同量のBPA混入土壌(100μg/g)と混合し、30℃にて5日間静置培養を行った。その後、培養系全体よりBPAを抽出し、HPLCにて定量を行ったところ、BPAの完全消失が確認された。
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