研究課題
近年、スフィンゴ脂質の一つであるセラミド(Cer)が動脈硬化のリスクファクターとなっている事が示唆された。しかしながら、これまでスフィンゴ脂質代謝とメタボリックシンドロームの関係を詳細に研究した例は無い。本研究では、Cerを中心としたスフィンゴ脂質代謝が、メタボリックシンドロームの発症にどの様に関わっているかを動物個体レベルから細胞レベルまで解析し、その分子メカニズムを明らかにする。本年度は、当該研究のスタートの年とあるので、まず個体レベルでの解析を中心に行った。細胞膜に存在するスフィンゴミエリンの合成酵素の一つである、SMS2のノックアウトマウスを用いて、生後4週~15週に渡って、60%高脂肪食を投与し、その体重変動等の基礎的なdataをとった。その結果、興味深い事に、SMSノックアウトマウスでは、高脂肪食負荷にも関わらず体重増加が、通常食投与時のレベルまで抑えられていた。さらに、これらのマウスを解剖し、体脂肪等を詳細に調べた結果、肝臓への中性脂質蓄積において、顕著な差がみられた。肝臓は、食事由来脂質の取り込みの他に、自らも脂肪酸の合成を行う事が知られているが、SMS2のノックアウトマウスでは、脂肪酸の合成に関わる遺伝子群は活性化されておらず、脂肪酸の取り込みに関与するスカベンジャーレセプターの一つCD36の発現に大きな差がみられた。CD36は、細胞膜上のスフィンゴミエリンに富んだ領域「脂質マイクロドメイン」に存在する事が知られている。次年度は、このCD36の発現と、細胞膜上に存在するスフィンゴミエリンやCerとの関係を、脂肪酸輸送活性を中心に検討する。
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http://biomem.pharm.hokudai.ac.jp/