研究課題
2010年度、当研究室では出願書類に明記していたように、バイオインフォマティクスを利用して、合成植物ホルモン2,4-Dによって誘導されるアポトーシスの誘導と細胞骨格であるアクチンの分解の分子ネットワークを確立することに焦点を当て研究を行った。我々の研究室で行った実験によると、2,4-D処理を行うことでのみ発現が上昇する遺伝子の遺伝子注釈分析により、アクチンとアポトーシスに関連する10以上の遺伝子の発現上昇を確認することができた。さらに、マイクロアレイによって確認されたそれらの遺伝子をRT-PCRを用いて分析した結果、すべての遺伝子においてIAAではなく2,4-D処理を行った場合においてのみ遺伝子の発現量が上昇することが判明した。これらの結果に基づき、仮説実働モデルを導くことができた。続けて、逆遺伝学の観点からこれらの遺伝子の機能的重要性について研究をすることとした。そのために、遺伝子型がホモであるT-DNA挿入株を、Arabidopsis Biological Resource Centerから入手した。今現在これらの変異体株は、TUNEL解析と免疫染色法を用いて2,4-Dによるアポトーシスとアクチン分解の作用に対しての耐性を有しているかを解析している段階である。我々はその解析と並行して、各々の遺伝子機能を解明するためにそれらの変異体株同士を交配することにより、二重変異体、三重変異体を作出している。さらに、リアルタイムPCR法により転移因子としての機能を持つ標的グループの一つを発見した。それら全てのLINE遺伝子とSINE遺伝子は、2,4-D処理をした場合IAA処理と比較して5~20倍もの発現量の上昇が確認された。それは転移因子が2,4-Dと特異的に反応することを示しており、今後はその転移因子の変異体の解析を行うことで2,4-Dの分子作用機構を解明することができるであろうと考えられる。
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Plant Cell
巻: 22 ページ: 1762-1776
Trends in Plant Science
巻: 15 ページ: 593-594