研究課題
CMP-Sia合成酵素(CMP-Sia synthetase ; CSS)は、糖鎖の非還元末端に修飾するSiaの発現に必須の酵素で、Mg^<2+>の存在下でSiaとCTPから活性化体CMP-Siaを合成する。本研究は、脊椎動物CSSの核局在することの重要性の有無を検証すること、およびCSSの核においてシグナル機能があるのかどうかを検証することの2つのことを行うことを目的としている。CSSの核局在の重要を検証する研究では、まず核移行シグナル(NLS)を欠失させた変異体および1アミノ酸を変異させた細胞質ゾル局在CSSコンストラクトを作製し、NIH3T3細胞における安定発現株を作製した。細胞内局在および発現量を調べた結果、細胞質ゾル局在するCSSはその発現が非常に抑制されていることが明らかになった。細胞質ゾル局在のCSSは非常に早い分解を受けるのではないかと仮定し、プロテアソーム阻害剤を用いた阻害実験を行った。その結果、CSS変異体の発現量の上昇がみられ、CSSがプロテアソームによる分解を受けることが明らかになった。これはCSSの運命の一端を明らかにした初めての結果である。次に、CSSの核におけるシグナル機能の探求における研究では、CSS相互作用分子の探索と同定を行うにあたり、まず内在性CSSを認識するツールの作製を試みた。CSSのN末端とC末端を抗原とした抗体をそれぞれラットを用いて調製した。これらの抗体は、細胞導入したCSSを認識したことから、Myc標識のような人口的付加のないCSSを用いて探索を行うことが可能になった。
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