|
原核微生物から動植物細胞に高度に保存されていながら、ゴルジ体膜に存在する膜内在性型プロテアーゼ(ロンボイド)の機能はショウジョウバエで増殖因子の切断による活性化が報告されているのみで、ほとんど解明されていない。本研究で用いている分裂酵母のロンボイド遺伝子破壊株は真核微生物では初めて各種薬剤に対する感受性や液胞タンパク質の選別輸送障害などの多面的な表現型を示すことが分かってきた。
ロンボイドが関与する液胞への選別輸送経路や亜鉛感受性に関わる周辺遺伝子の同定につなげるために、rob1及びrob2破壊株に対しては分裂酵母のゲノムライブラリーで形質転換を行い、薬剤感受性の回復を指標に多コピーで表現型を抑制する遺伝子のスクリーニングを継続している。また、温度感受性のロンボイド変異株の単離も試みており、温度感受性を抑圧する遺伝子の単離を行うことで、機能的に密接に連関して働くタンパク質の同定にもつなげたい。さらに標的タンパク質の可能性として、ゴルジ体膜や小胞膜上に局在している膜タンパク質を網羅的にクローニングしている。遺伝子破壊株で切断されなくなることを指標にして、ロンボイドの標的となる膜タンパク質の直接的な同定を試みている。ごく最近になり、いくつかの候補となるタンパク質が挙がってきたことから、表現型との関連性や切断箇所の同定、これまでに明らかになっている他起源ロンボイドとの諸性質の比較など、多岐に渡って解析が進むことが考えられる。
|
