研究課題
25種類の植物のゲノムデータベースからAP2ファミリー転写因子の予測配列を取得し、初年度の解析で見出した、DREB2型転写因子を特徴づけるモチーフ(CD2)を持つ配列を抽出した。その結果、DREB2型転写因子は、祖先的なコケ植物で既に獲得されていたことが示された。DREB2AのCD2に変異を導入すると、活性が大幅に低下した。CD2はDNA結合ドメインに隣接しているため、DREB2型転写因子に共通する基本的な機能を担っている可能性がある。DREB2Aは活性を負に調節している領域(NRD)を持っていて、そのアミノ末端側にはSer、Thrに富んだ配列が存在している。DREB2Aやシロイヌナズナの近縁タンパク質DREB2B、ダイズの相同タンパク質において、この配列を欠損させると活性が上昇したことから、この配列が負の活性調節にとって中心的な役割を果たしていることが確かめられた。この配列にとって重要なアミノ酸残基を調べるため、ゲノムデータベース、ESTデータベースから、DREB2Aに近縁な遺伝子を大規模に収集し、配列の特徴を解析した。その結果、セリン、トレオニンのクラスターを中心とし、親水性が高い傾向が保存されていた。DREB2AのNRDにおいて、様々な残基について、アラニンあるいはアスパラギン酸へのアミノ酸置換を施した結果、いずれのアミノ酸置換も、負の活性調節能を弱くする傾向が認められた。その効果は、セリン、トレオニン>親水性残基>疎水性残基の順に大きく、アラニンへの置換の方が、アスパラギン酸への置換に比べて効果が大きかった。以上の解析から、DREB2Aの負の活性調節にとっては、セリン、トレオニンのクラスターが重要な機能を担っているが、親水性も鍵となっていることが示唆された。
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