研究課題
既知のシロイヌナズナ遺伝子の間隙に30-100アミノ酸をコードする領域が約7,000存在することが報告されている。このような領域はshort open reading frame(sORF)と呼ばれており、複数の生物種において機能を持つことが示唆されている。そこで本研究において植物におけるsORFの機能解明を目指し、特に光誘導性のsORFに着目した解析を行っている。光誘導性のsORFを同定するため、単色光(青色・赤色・遠赤色)で生育させたときのシロイヌナズナの芽生え、また暗所で3日間成育させた芽生えに連続白色光を照射し、1・6・24時間後の植物体からRNAを抽出し、暗所成育のものと比較する発現解析をあわせて行った。さらに、光誘導性のsORFがどの光受容体の制御下にあるのかを調べるため、クリプトクロム・フィトクロムA・フィトクロムBの変異体を用いてsORFの遺伝子発現プロファイルを観察した。その結果、約140の光により発現が変化するsORFの同定に成功した。これらの遺伝子のうちいくつかは、光により発現が誘導されるが光受容体の変異体では発現変化が見られないものがあり、一部のsORFは光受容体により発現が制御されていることが示唆された。また、解析に用いたマイクロアレイには新規のnon-codingRNAも搭載されており、約40のnon-coding RNAの発現が光により制御されていることも確認された。このように、本研究により光により発現が制御される新規の遺伝子群を同定できた。
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