研究概要 |
ロジウム(II)アミダート錯体Rh_2(S-BPTPI)_4を不斉ルイス酸触媒として用いるヘテロDiels-Alder(HDA)反応の開発とその応用研究として、抗骨粗鬆症作用を示す天然物ジオスポンジン類の触媒的不斉合成を行った。Rh_2(S-BPTPI)_4を用いDanishefsky型ジエンとベンズアルデヒドとの不斉HDA反応を行った後、反応溶液を-78℃に冷却して10mol%のTMSOTfを加えると付加環化生成物は速やかにジヒドロピラノンに変換された。そこへアセトフェノン由来のシリルエノールエーテルを加えると向山-Michael反応が立体選択的に進行し、トランス配置のテトラヒドロピラノンが高収率かつ不斉収率95%で得られることが分かった。その後K-Sekectrideを用いたジケトンの立体選択的還元を行いジオスポンジンBの合成を達成した。さらに、ジオスポンジンBを酸性条件下で処理するとジオスポンジンAに収率良く変換できることを明らかにした。 また、Rh_2(S-BPTPI)_4は従来ルイス酸触媒を用いた不斉触媒反応の報告例のない2-アザ-3-シロキシジエンとアルデヒドとの不斉HDA反応にも利用可能であり、最高不斉収率97%でシス-2,6-二置換テトラヒドロ1,3-オキサジン-4-オンが得られることが分かった。本反応で得られる付加環化生成物からは、加水分解によりβ-ヒドロキシ酸、酸性条件下アルコールとの反応によりβ-ヒドロキシエステルがそれぞれ高収率で得られることが分かった。さらにごく最近、テトラヒドロ1,3-オキサジン-4-オンから調製したエノールトリフラートと有機銅反応剤とのクロスカップリング、生じたエナミドの立体選択的還元によりシンの1,3-アミノアルコール誘導体が高収率かつ立体選択的に合成できることを明らかにした。現在本法を機軸とする生物活性天然物の合成研究を展開中である。
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