研究概要 |
本研究課題では,二環性骨格を持つ7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタンを基本構造とするβ-アミノ酸を用いて短鎖で安定な規則構造を有するアミド(およびチオアミド)オリゴマーを創製し、新規材料としての応用につなげることを目的とした。平成21年度は以下の項目について主に検討を行った。 (1)橋頭位の官能基化による7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタンアミド(アミノ酸)オリゴマーの構造制御研究のための合成法の開発 橋頭位にアルキル誘導体置換基を有するキラルなβ-アミノ酸の合成法を開発し、そのホモオリゴマーの合成に成功した。X線結晶構造解析、NMRおよび円二色性(CD)スペクトルの結果、本オリゴマーは水中を含む種々の溶媒中においてシス型アミド構造を有する新規ヘリックス構造をとることを明らかにした。さらに本構造は2量体という最小単位においてもシス型アミド結合を有する安定な規則構造をとること、および温度,濃度等に依存しない安定な構造であることが分かった。 (2)チオアミド化を用いるヘリックス構造のシス-トランスならびにチオアミドの平面性制御 近年申請者らは二環性の7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタンのチオベンゾイルアミドの平面性がベンゾイル基のベンゼン環上の置換基の電子効果により制御できることを示した。本研究課題では,二環性のβ-アミノ酸のチオアミドホモオリゴマーの合成経路を確立した。また2量体および3量体のX線結晶構造解析に成功し、これらがトランス型のチオアミド結合を有する新規ストランド型構造をとることを見出した。さらに2次元NMRによる解析から、溶液中においても本オリゴマーはトランス型チオアミド結合を主構造として有することを明らかにした。
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