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2010 年度 実績報告書

ナカドマリンAの不斉全合成研究

研究課題

研究課題/領域番号 21790012
研究機関金沢大学

研究代表者

稲垣 冬彦  金沢大学, 薬学系, 助教 (80506816)

キーワード有機化学 / ナカドマリンA / Pauson-Khand / 天然物合成 / アレン
研究概要

1,昨年度までにPauson-Khand反応を利用したナカドマリンAの形式不斉全合成を達成した。通常のエンイン体を用いたPauson-Khand反応では、四級炭素構築を伴うビシクロ[4.3.0]誘導体の合成は困難である。しかしながら、アルキンに多重結合成分を連結することにより、その閉環が実現することを見出し、6環性構造(A~F環)を有するナカドマリンAの5-6-5員環(ABD環)に相当する骨格の構築に適用することができた。新たに得られたこの知見をもとに、今年度はメロシンの全合成を行った。本合成では、側鎖のベンゼン環のテンプレート効果を巧みに利用したエンイン体のPauson-Khand反応により、5環性構造のメロシンの核となる5-6-5員環の構築が実現可能であった。その後、各種官能基変換を経て、目的のメロシンの全合成を達成した。四級炭素の構築に加え、二環性化合物を一挙に合成できる本法は、天然物合成の効率化に大きく寄与しており、本合成経路はこれまでに報告されている経路に比べて格段に工程数の短いものとなった。
2,ナカドマリンAの全合成では当初、自身らが開発したロジウム触媒によるアレン-アルケン体の分子内Pauson-Khand型反応を利用する予定であった。本法は、閉環を助長するような反応部位を設計することなく四級炭素構築を含むビシクロ[4.3.0]誘導体の合成が可能である点で、基質特異性を利用する1のような従来法とは一線を画している。しかしながら、一般性については更なる検討の余地があったため、反応性を精査した。その結果、本合成法が広範な実用性を示すことのみならず、5-6-5員環の構築にも応用可能であることを実証した。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Rh(1)-catalyzed Intramolecular [2+2+1] Cycloaddition of Allenenes : Construction of Ricyclo[4.3.0]nonenones with an Angular Methyl Group and Tricyclo[6.4.0.0^<1.5>]dodecenone2011

    • 著者名/発表者名
      F.Inagaki
    • 雑誌名

      Beilstein J.Org.Chem.

      巻: 7 ページ: 404-409

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Total Synthesis of (±)-Meloscine2011

    • 著者名/発表者名
      Y.Hayashi
    • 雑誌名

      Org.Lett.

      巻: 13 ページ: 1778-1780

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Construction of Diverse Ring Systems Based on Allene-Multiple Bond Cycloaddition2011

    • 著者名/発表者名
      F.Inagaki
    • 雑誌名

      Synlett

      ページ: 594-614

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Rhodium(I)-Catalyzed Intramolecular Carbonylative [2+2+1]Cycloadditions and Cycloisomerizations of Bis(sulfonylallene)s2010

    • 著者名/発表者名
      T.Kawamura
    • 雑誌名

      Chem.Eur.J.

      巻: 16 ページ: 5173-5183

    • 査読あり
  • [学会発表] (±)-Scandineの合成研究2011

    • 著者名/発表者名
      林佑次郎
    • 学会等名
      日本薬学会 第131年会
    • 発表場所
      (東日本大震災のため誌上開催)
    • 年月日
      2011-03-29
  • [学会発表] 多重結合の特性な活用した分子内環化反応とその応用2010

    • 著者名/発表者名
      稲垣冬彦
    • 学会等名
      日本薬学会北陸支部第122回例会
    • 発表場所
      北陸大学アネックスファーム(石川県)(招待講演)
    • 年月日
      2010-11-21
  • [学会発表] アレンを基盤とする中員環含有双環性骨格の新規構築2010

    • 著者名/発表者名
      稲垣冬彦
    • 学会等名
      反応と合成の進歩シンポジウム
    • 発表場所
      ウインクあいち(愛知県)
    • 年月日
      2010-11-01
  • [学会発表] Pauson-Khand反応を活用した効率的な多環状天然物の合成:(+)-ナカドマリンA及びメロシンの全合成2010

    • 著者名/発表者名
      稲垣冬彦
    • 学会等名
      第8回次世代な担う有機化学シンポジウム
    • 発表場所
      長井記念ホール(東京都)
    • 年月日
      2010-05-14

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公開日: 2012-07-19  

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