我々がこれまで行ってきたジメチル亜鉛を開始剤として用いるエーテルラジカルの発生、及び反応開発の成果を礎として、我々の見いだしたスズを用いない温和なアシロキシメチルラジカルの発生法の適用範囲を拡大し、合成化学的有用性を向上させることを目的とし、昨年度は以下の成果をあげた。 1) ジメチル亜鉛を開始剤としてアセタールからから発生させたヒドロキシメチル基の合成等価体ラジカルをアルキリデンマロネートに共役付加させ、生じたラジカルもしくは生じたラジカルから発生させたエノラートを分子内のアルデヒド基に付加させるタンデム型反応の開発に成功した。付加体はインダン誘導体へと変換可能である。 2) 上記反応をキラル補助基を用いる立体選択的反応に展開した。 3) ジメチル亜鉛を開始剤としてアセタールからからヒドロキシメチル基の合成等価体ラジカルを発生させる際、塩化鉄を添加すると発生効率が著しく向上することを見いだした。使用するアセタールの量を1/10に減量することができる。 4) 光学活性受容体イミンの立体的チューニングを行ない、ジメチル亜鉛を開始剤としてアセタールからから発生させたヒドロキシメチル基の合成等価体ラジカルの付加反応における選択性を向上させることに成功した。
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