研究概要 |
新たな構造特性と機能を併せ持つ新規な人工タンパク質の創製には、天然に存在しない非天然(人工)アミノ酸を用いることが有用である。本研究では、1)プロリン誘導体の合成と含有ペプチドの二次構造制御(平成21年度)、2)ペプチド二次構造の制御と不斉ペプチド触媒としての利用(平成22年度)を目的とし研究を遂行した。2)に関する研究では、(1)非天然アミノ酸によるペプチド二次構造の高度制御、(2)ヘリカルペプチドを利用した不斉エポキシ化反応を行った。(1)では、L-ロイシンから構成されるペプチドにD-アミノ酸および非天然アミノ酸(α,α-ジ置換アミノ酸)を導入することで、ペプチドの二次構造の制御を行った。その結果、D-ロイシンやα,α-ジ置換アミノ酸(2-アミノイソ酪酸、キラル環状ジ置換アミノ酸)をペプチド内の特定残基の位置および配列に導入することで、α-ヘリックス、3_<10>-ヘリックス、β-ターン、S字ターン、ヘアピン構造などを高度に制御できることを明らかとした。また、ジ置換アミノ酸と側鎖C-C架橋を導入することで安定なヘリカルペプチドの開発に成功した。(2)では、ヘリカルペプチドを触媒として利用したカルコンの不斉エポキシ化を検討した。その結果、側鎖架橋部の絶対配置、長さがエポキシ化のエナンチオ選択性に大きく影響を与えることを明らかにした。また、カルコン以外のα,β-不飽和ケトンの不斉エポキシ化にも有効な触媒であることを明らかとした。
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