研究課題
本年度は、前年度までに合成方法を確立した二種類のキラルなN-アリールイサチンを基質とする各種分子変換反応を検討することで、本手法の不斉合成法としての可能性を明らかにすることとした。具体的には、(1)キラルなN-アリールイサチンに対する求核付加反応の検討、(2)下部芳香環の切断、の二点について系統的に検討した。まず(1)については、下部芳香環の両オルト位に異なる置換基を持つ二置換N-アリールイサチンに対して有機リチウム反応剤を作用させたところ、収率良くかつ、高いジアステレオ選択性(最高95:5以上)で付加体を得ることができた。この選択性は、下部芳香環のオルト置換基上の第3級水酸基の保護基や有機金属反応剤の対カチオンの種類によって大幅に変化することを見い出した。すなわち、選択性向上を狙って嵩高い保護基を導入したところ、C3位のジアステレオ選択性が予想に反して低下することが分かった。また、有機マグネシウム反応剤では低選択性であった。一方、一置換N-アリールイサチン系でも、上記と同様のジアステレオ選択性及び収率にて付加体を得ることに成功した。なお、得られた生成物の立体化学をX線結晶構造解析で確認したところ、予想通り、下部芳香環の置換基の嵩低い方から求核剤が接近していることが分かった。(2)については現在も検討途中であるが、下部芳香環の酸化を容易にしたフェノール誘導体に変換し、酸化剤を作用させることで、下部芳香環が除去できることを確認している。以上本申請者らは、アミドの軸不斉に着目したオキシインドールの新規な立体制御法を開発し、端緒となる結果を得ることができた。今後、本計画で実現できなかった光学活性なオキシインドール合成と、本方法論を活用した多環式含窒素天然物の合成に展開する計画である。
すべて 2011 2010 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (20件) 備考 (1件)
Tetrahedron Lett.
巻: 52 ページ: 626-629
Angew.Chem.Int.Ed.
巻: 50 ページ: 680-683
Chem.Pharm.Bull.
巻: 59 ページ: 522-524
Synlett
ページ: 647-650
Biosci.Biotechnol.Biochem.
巻: 74 ページ: 1635-1640
巻: 49 ページ: 10068-10073
http://kenpro.mynu.jp:8001/Profiles/0062/0006259/profile.html