研究概要 |
本年度は前年度に合成を行った修飾型スピロボラート環状化合物も含めたスピロボラート化合物を用いて各種アンモニウム、ピリジニウムゲストとの包接体の合成を試み、医薬品化合物でもある非常にかさ高いアダマンチル骨格を有するアマンタジンのアンモニウムをスピロボラートシクロファン内に取り込んだ構造をしていることが大型放射光施設Spring-8での単結晶X線構造解析の結果から明らかになった。また、1,8-ジアザビシクロオクタンビスアンモニウムとも包接結晶を形成することも明らかにした。4,4'-ビピリジルを修飾したビスピリジニウムとも包接結晶を与えることがわかり、今後この系に関しては新規材料の開発へと展開が期待される。また、溶液構造を検討すべく、コールドスプレーイオン化質量分析を行ったところ、通常のエレクトロスプレーイオン化法では検出されなかった、各包接体のモノマーに対応する質量数のピークが観測された。また、1,8-ジアザビシクロオクタンビスアンモニウムとの包接体ではモノマーだけでなく、ダイマーに対応する質量数のピークも観測された。さらにNMRによる測定の検討もDOSY、ROESY法を利用し始めたが、これについては現段階では条件検討の段階であり、結果については今後さらに精査していく必要がある。 当初の超分子ポリマーの開発ならびに評価に関しては一定の成果を挙げ、また、医薬品であるアマンタジンアンモニウムを包接することから医療への応用の可能性を示すことが出来たと考えられる。
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