近年盛んに研究が行われているマイクロ化学分析システムは、微量生体分子の分離・定量の技術として有用である。その実用化のためには、高性能な分離場と高感度検出を兼ね備えたマイクロ化学分析システムの開発が必要である。オンチップ液体クロマトグラフィーによる高性能な分離場と、1分子検出も可能な蛍光顕微鏡システムを組み合わせることにより、微量生体成分の分析が可能なマイクロ化学分析システムを開発することを目的として、研究を行った。今年度は、昨年度に作製したオンチップLCによる高性能な分離場を用いて、分離の検討を行った。MEMS(Micro Eledro Mechanical Systems)における代表的な技術であるフォトリソグラフィーとドライエッチングにより、シリコン基板にクロマトグラフィー用分離媒体として流路内にピラーアレイを作製し、ODS(octadecylsilyl)基を表面修飾することで分離用チップとした。分離には、2つのクマリン色素(Coumarin525とCoumarin545)を用いて、検討した。その結果、低拡散曲線構造を有するカラム長の長いLCチップ(カラム長110mm)を用いることで、直線流路だけでは得られない分離能を得ることができた。よって、カテコールアミンの分離も容易にできるものと考えられる。さらに、オンチップ検出系を確立し、高感度な分析を可能にすることにより、カテコールアミンの高感度分析システムの構築が可能となる。
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