研究概要 |
新規に開発したマイクロダイアリシス法を組み合わせたナノFIAシステムを用いてラットに抗酸化剤を投与した場合の血液中の抗酸化活性をモニタリングし、その有用性を評価した。投与抗酸化剤にはアスコルビン酸(ASA)を用い、尾静脈注射、腹腔内投与及び経口投与と異なる投与経路を用いた場合の血中抗酸化活性の違いを評価した。 ASA投与によって血液微少透析液の抗酸化活性は上昇し、投与後6時間まで持続した。その際、時間-反応曲線から算出したAUC(Quenching effect(%)×min)はそれぞれ16260±1739(i.v.),12873±2152(i.p.)及び6668±2251(p.o.)であり、AUC 0-360の割合を静脈内投与と比較すると、腹腔内投与では78.4±9.5%、経口投与では39.0±13.4%であった(n=3)。さらにASA投与によって増加した抗酸化活性がASA酸由来であることを、1)透析液に対するアスコルビン酸オキシダーゼ処理によりその活性が消去されたこと及び2)2,4-ジニトロフェニルヒドラジン法を用いたHPLC-UV法によりASAの定量を行うことで確認した。採取した血液透析液にアスコルビン酸オキシダーゼ処理を行うと、その抗酸化活性はASA投与前と同程度にまで低下した。また透析液の抗酸化活性と血中アスコルビン酸濃度との間には高い相関性が見られた(r=0.915)。以上の結果から、今回開発したマイクロダイアリシス法を組み合わせたナノ FIA法はASA投与後のin vivoラット血液抗酸化活性の経時的測定に有用であることが示された。
|