研究概要 |
肺がん治療を目的とした経肺投与用ナノ粒子製剤の開発を行った。製剤が肺深部へ到達した後に、疾患部位への指向性を向上させるため、肺がん細胞標的化へ向けての検討を行った。具体的にはナノ粒子の粒子径及び投与量が与える肺がん細胞内到達能への影響についてを検討した。 クマリン6で蛍光標識した100、200、400nmの粒子径を有するPLGAナノ粒子を、ヒト肺腺がん細胞株であるA549細胞に投与した。細胞一つ当たりに対する投与ナノ粒子個数を変化させて投与した(100nmでは3,000~1,500,000、200nmでは3,000~500,000、400nmでは3,000~50,000)。ナノ粒子投与後、30分間37℃でインキュベーションし、細胞内からクマリン6を抽出して定量したところ、粒子取り込み数は投与個数濃度に依存して増加した。4℃でも同様の検討を行い、ナノ粒子取り込み数を算出して37℃の結果から差を取ってみたところ、各粒子径において飽和取り込み個数が存在することが確認され、100nmでは約80,000個/細胞、200nmでは約14,000個/細胞、400nmでは約1,300個/細胞となった。投与個数に対する取込効率も粒子径が小さい粒子のほうが比較的高いことが確認された。各粒子径のナノ粒子投与量を一定にして投与してみたところ(0.01~1ng/cell)、400nmより100nm、200nmの粒子細胞内到達量は高かったが、100nm、200nmの二者間に有意差は確認されなかった。
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