研究課題
前年度、誘電泳動現象を利用することにより、薬物を内包させたキャリアーと薬物を内包しないキャリアーで異なる挙動が観察された。一方、クロマトグラフィー法は、非常に汎用される医薬品分析手法であるが、本手法により薬物を内包させたキャリアーと薬物を内包しないキャリアーの分離に成功した例は報告されていない。そこで、誘電泳動現象をクロマトグラフィー法へ適用することが可能であれば、非常に汎用性の高いナノ粒子製剤の分離・解析手法を確立できると考え、本年度は、マイクロメートルサイズの貫通孔を有するモノリス型カラムを用いることにより、ナノ粒子製剤の分析法を開発した。本カラムは粒子充填型カラムと比較し空隙率が高いため、ナノ粒子がカラム内に詰まることもなく、カラム負荷圧を低く抑え、カラム長の増加による分離性能の向上が期待できた。シリカナノ粒子、リポソームを試料として分析条件を検討したところ、カラムには中性親水性基であるアミド基で表面修飾したシリカ系モノリス型カラムが、移動相にはリン酸緩衝液とメタノールの混液が良好なピーク形状と分離を可能とした。これは、イオン交換型相互作用に基づく試料の吸着を抑えることが可能であったためと推察され、リポソーム製剤など生体由来物質を主成分とするナノ粒子分析へ広く応用可能であるとともに、カラムのスケールアップによる分取・精製も可能であると考えられる。今後、誘電泳動現象をクロマトグラフィー法へ適用することにより、非常に汎用性の高いナノ粒子製剤の分離・解析手法を確立できると考えられる。
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Nanotechnology
巻: 22 ページ: 205702
薬剤学
巻: 71 ページ: 114-117
http://www.nihs.go.jp/drug/DrugDiv-J.html