研究課題
抗加齢医学では加齢あるいは老化マーカーを指標として実践するため、加齢あるいは老化度判定に有用なマーカー分子が求められる。本年度は、加齢マーカーとしての糖鎖の可能性を検証するため、ラット血清中の糖タンパク質糖鎖を週令ごとに解析し、加齢に伴う糖タンパク質糖鎖の変化について解析するとともに、メタボリックシンドロームモデル用の高脂肪飼料を与え飼育した場合の糖タンパク質糖鎖の変化についても解析した。3週令～15週令までのWistarラット血清から糖タンパク質糖鎖を調製し、N-結合型糖鎖およびO-結合型糖鎖を、ャピラリー電気泳動、質量分析法、高速液体クロマトグラフィーを組み合わせて、加齢に伴う糖鎖の変化を定量的に解析した。その結果、N-結合型糖鎖では15週令までに全糖鎖量が約2倍に増加しており、最も含有量の高いN-アセチルノイラミン酸(NeuAc)のO-アセチル体を持つジシアロ2本鎖糖鎖は加齢に伴い約35倍にまで増加していた。一方、O-型糖鎖では顕著な変動は観察されなかった。また、高肪食で飼育したラットではNeuAcのO-アセチル体は減少傾向であり、通常食で飼育したラットと相反する特徴的な変動を示した。以上、ラット血清糖鎖は正常な加齢だけでなく、メタボリックシンドロームのような生活習慣病予備群によっても変動することがわかった。
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