褐色脂肪細胞は、生体内の余剰なエネルギーを積極的に消費して熱産生を行う唯一の細胞であり、エネルギー恒常性の維持に極めて重要な役割を担っている。我々は、褐色脂肪細胞が正常に形成されるために必須の因子の探索を行った。その結果、高濃度のインスリン存在下では、褐色脂肪細胞の熱産生に必須のUCP1遺伝子の発現がほぼ完全に消失することが明らかになり、正常な褐色脂肪細胞の機能を保つためには、インスリン濃度を厳密にコントロールする必要があることが判明した。また、脂質代謝と糖代謝のバランスを制御するPDK4遺伝子の発現が高濃度のインスリンによってほぼ完全に抑制されることが判明し、これが熱産生機能の著しい低下を引き起こす原因の一つであることを明らかとした。
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