研究課題
本研究は、酸化ストレスに対する生体応答であり、抗酸化遺伝子の発現を誘導するNuclear erythroid 2 p45-related factor 2(Nrf2)-antioxidant response element(ARE)システムの調節機構解明と新規活性化物質の探索が目的である。これまでにプロテアソーム阻害薬がNrf2-ARE経路を活性化することを報告してきたが、平成21年度において、そのプロテアソーム阻害薬によるARE活性化は抗酸化薬の存在下でも誘導されることを明らかにした。一般的にNrf2-ARE路の活性化には抑制因子であるKeap1の酸化的修飾が必要であると考えられているが、プロテアソーム阻害による活性化機序に酸化的修飾が必ずしも必要ではないことが示唆された。この結果は、酸化ストレスを与えずに細胞の抗酸化機構を亢進させることができることを意味し、新たなNrf2-ARE経路活性化方法として重要であると考えられる。また、生理活性物質によるNrf2-ARE経路の調節機構を検討したところ、既知のNrf2-ARE活性化物質であるスルフォラファンの作用をビタミンAであるレチノイン酸が増強することを見出した。、レチノイン酸自身のARE活性化作用は比較的弱く、むしろARE活性化物質の作用を相乗的に増強させることから、レチノイドがNrf2-ARE経路の調節因子として働いていることを示唆している。これは生体内物質によるNrf2-ARE経路の調節機構として大変意義深いと考えられる。さらに、すでに青紫蘇抽出物にARE活性化物質が含まれていることを見出していたが、平成21年度において、単一化合物として単離・精製することに成功しその構造を決定した。その化合物は、これまでにNrf2-ARE経路活性化させる報告は無く新規な作用を見出したと言える。
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